成人矯正とは
成人矯正とは、顎の成長が完了し、全て永久歯に生え変わっている状態で行う矯正治療のことです。矯正治療は子どもの頃に行うイメージがあるかもしれませんが、大人になってからでも行えます。歯は力をかけると動く性質を持つため、矯正治療に年齢制限はありません。治療期間は1年半~3年程度で、3~4週間ごとにご来院いただき、矯正装置の調整や装着状態のチェックを行います。
歯並び・かみ合わせが整った後は、歯の位置を安定させるためにリテーナーと呼ばれる装置を装着し、保定しなければなりません。このように、時間や費用、手間などがかかる治療ではありますが、コンプレックスの解消やむし歯・歯周病のリスク軽減など、メリットが多いことが特徴です。
成人矯正を行うメリット
コンプレックスを解消できる
歯並びの問題が心理的に悪影響を及ぼし、人前に出られなくなったり笑うときに口元を隠したりするようになる場合があります。成人矯正で歯並びのコンプレックスを解消できれば、笑顔に自信を持てるようになるでしょう。
むし歯や歯周病のリスクが減る
歯並び・かみ合わせが整うと、歯ブラシがすみずみまで届くようになるため、むし歯や歯周病のリスクが軽減します。また、歯にかかる力も分散されるため、特定の歯に大きな負担がかかって早期に歯を失うようなリスクもなくなります。
口臭が改善する
歯並び・かみ合わせが悪いことで清掃性が低下すると、溜まった汚れによって口臭が発生します。歯の清掃性が改善すれば適切な歯磨きができるようになり、口臭が改善するでしょう。
身体の健康状態が良くなる
よく噛めるようになることで消化吸収の効率が上がり、同時に胃腸への負担が軽減します。また、顎関節症のリスクも軽減するなど、身体の健康状態が良くなるでしょう。
悪い歯並びを放置するリスク
コンプレックスを抱える
悪い歯並びによって口元の印象が悪くなり、人とのコミュニケーションに支障をきたしたり、コンプレックスを抱えてしまったりする場合があります。
しっかり噛めない
歯と歯がかみ合わないことで十分に噛むことができず、食事を楽しめなくなる場合があります。
むし歯や歯周病のリスクが高い
歯をすみずみまで磨けないことで歯の汚れが溜まり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
消化不良を起こしやすい
よく噛めないことで胃腸に負担がかかり、消化不良の原因になります。
発音が悪くなる
歯と歯のすき間から空気が漏れ出ることで、サ行やタ行などの発音が悪くなる場合があります。
顎関節症のリスクが高まる
正しく噛めないことで顎関節に大きな負担がかかると、顎関節症のリスクが高まります。放置すると肩こりや頭痛、腰痛などにつながる場合もあります。
歯並びセルフチェックリスト
下記に当てはまる項目が多くなればなるほど、歯並び・かみ合わせに何らかの問題を抱えている可能性が高まります。
- 出っ歯や受け口になっている
- 下の歯の大部分が上の歯に覆われている
- 唇が閉じにくい
- うつぶせ寝やほおづえの癖がある
- 永久歯の歯並びがガタガタ
- 口呼吸になっている
- 上下の前歯の中心がずれている
- 永久歯がなかなか生えてこない
- 歯ぐきが下がって歯が長くなったように見える
- 抜けた歯を放置したら隣の歯が倒れてきた
成人矯正の種類
表側矯正
歯の表面にブラケットを取り付け、ワイヤーを通して歯を動かす矯正治療です。幅広い症例に対応できますが、歯の表側に装置を取り付けるため、口を開けたときに装置が目立つことに悩む方が少なくありません。当院では、歯の色に近いセラミックやプラスチックのブラケットやワイヤーをご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。
舌側矯正(裏側矯正)
歯の裏側にブラケットを取り付けてワイヤーを通し、歯に力をかけて動かす矯正治療です。口を開けたときに装置が見えないほか、唾液に触れることで自浄作用が働いてむし歯や歯周病のリスクが軽減します。上下ともに歯の裏側に取り付ける方法と、上顎は裏側、下顎は表側に取り付ける「ハーフリンガル」という方法があります。
インビザライン
(マウスピース矯正)
インビザラインとは、取り外し可能な透明のマウスピースを装着し、歯に力をかけて動かす矯正治療です。食事や歯磨きのときに取り外せるため、これまでどおりに食事や口腔ケアを行えます。また、事前の治療シミュレーションで歯の動き方や治療後の歯並びなどを確認できる点もメリットです。
交換頻度は約10日に1回で、1回の通院で数枚のマウスピースをまとめてお渡ししますので、通院回数を抑えることができます。
大人の矯正治療後の
後戻りについて
矯正治療後に歯並び・かみ合わせが元に戻ってしまうことがあります。これを「後戻り」といい、歯が安定する前に装置の使用をやめたことが原因です。矯正装置の装着によって歯が理想的な位置に移動した後は、保定装置の使用に切り替える必要があります。
この保定装置を装着する保定期間が短すぎたり、正しく装置を使用しなかったりすると後戻りが起きるリスクが高まります。当院では、後戻りを防ぐために保定装置の正しい使用方法や注意点などを分かりやすく丁寧にお伝えしておりますので、どのような疑問や不安なこともお気軽にご相談ください。
矯正後に後戻りする原因
治療計画が妥当なものではなかった
骨格が原因であるのに歯の移動だけで歯並び・かみ合わせを整えようとしたり、歯を動かす先のスペースがないのに非抜歯で進めたりすると、後戻りが起きるリスクが高まります。外科的な手術はなるべく避けたいものですが、原因によってはどうしても必要になります。当院では、治療の必要性や治療計画の妥当性などについても詳しくご説明しておりますので、疑問や不明点などはお気軽にお申し出ください。
歯根まで移動する前に
保定期間に入った
抜歯をして矯正する場合、空いたスペースを閉じるときに歯の萌出している部分だけを閉じてしまい、歯根まで十分に近づいていないケースがあります。歯根までしっかり近づけないと、保定後に歯の位置が変わりやすくなります。
保定装置を正しく使用しなかった
保定装置を適切に使用しない場合、後戻りのリスクが高まります。
後戻りした場合の矯正治療法
後戻りが起きた場合は、インビザライン(マウスピース矯正)やブラケットとワイヤーを用いて歯並び・かみ合わせを整えます。インビザラインは、治療の負担が少なく取り外しも可能なため、後戻りの治療に向いています。
後戻りのレベルにもよりますが、部分矯正で治療が終わる可能性もあります。
後戻りしてしまったらすぐに
受診しましょう
歯並びが再び動いてしまった場合は、なるべく早く治療を開始することで短期間で元の歯並び・かみ合わせへと整えることができます。また、保定装置の装着時間の見直しで様子を見る場合もあります。後戻りを放置すると、再び適切な歯並び・かみ合わせへ整えるのに時間がかかるようになるため、なるべく早くご相談ください。